ECサイト運営で知っておくべき法律とは?改正特定商取引法についても徹底解説!

インターネットが普及した現代ではネットショッピングの利用者増加とともに、ECサイトを運営したいと考える方も増えてきました。

ECサイトは、Webサイト上で取引しますが、法律を正しく理解していないと、大きなトラブルに発展するリスクがあります。当記事では、ECサイト運営で知っておくべき法律や義務、規制について解説します。

目次

ECサイト運営で知っておくべき法律とは?

ECサイト運営で知っておくべき法律にはさまざまなものがあります。押さえておくべき法律は、以下のとおりです。

  • 個人情報保護法
  • 資金決済法
  • 通則法
  • 特定電子メール法
  • 独占禁止法
  • 不正アクセス禁止法
  • プロバイダ責任制限
  • 預金者保護法
  • 電子契約法
  • 特定商取引法

すべての法律を100%理解する必要はありませんが、ポイントは押さえておくとよいでしょう。

特に重視すべき2つの法律とは?

特に重視すべき法律として、次の2つが挙げられます。

  • 電子契約法
  • 特定商取引法

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.電子契約法

電子契約法の正式名称は「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」です。

「電子契約法」が施行されるまでは民法の定義が曖昧であったため、運営者が「消費者に重大な過失がある」と主張し、消費者が購入を取り消せないケースがありました。そこで、消費者を守るために誕生したのが電子契約法です。

2.特定商取引法

特定商取引法とは「事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律」です。

特定商取引法では、訪問販売や通信販売など消費者トラブルが生じやすい事業を対象に、事業者が守るべきルールと消費者を守るべきルールが定められています。

電子契約法で理解しておくべき3つのルールとは?

電子契約法で理解しておくべきルールとして、次の3つが挙げられます。

  • 契約成立時期の転換
  • 分かりやすい申込画面にする
  • 消費者の誤注文に対する救済

それぞれ詳しくみていきましょう。

1.契約成立時期の転換

電子契約法が施行され、契約成立時期が転換されています。以前は「承諾通知が消費者の元に届いていなくても発信された段階で契約が成立したもの」とされていました。

しかし、電子契約法の成立によって「承諾の通知が消費者の元に到達した時に成立する」に変更されています。つまり、取引確認メールを事業者が送信し、購入者が受け取った段階で電子契約が成立するのです。

また、契約成立時期については、電子メールとWeb画面によって規定が異なります。

  • 電子メール:消費者へメールが受信され、読み取り可能な状態でメールボックスに記録された段階で契約成立
  • Web画面:消費者の画面に承諾通知が表示され、読み取り可能な状態で契約成立

Web画面の場合、承諾内容が文字化けなどで判別できない状態の場合は契約成立とならないため、注意が必要です。

2.分かりやすい申込画面にする

分かりやすい申込画面にするには、以下の項目を明確にしておきましょう。

  • 商品名
  • 個数
  • 容量
  • 支払方法
  • ポイント数
  • 合計表示

通販サイトなどで商品を注文した時に表示される「最終確認画面」のように、上記の項目を明確に記載すると誤認を回避できます。

3.消費者の誤注文に対する救済

消費者の誤注文に対する救済で、契約の取り消しが可能な場合は以下のとおりです。

  • 申込者には、契約を申し込む意思がなかったが、誤って申込みボタンを押してしまった。(申込内容の完了措置が講じられていない場合)
  • 申込者が内心で認識していたサービス提供の価格と、実際に成立した契約の価格に食い違いがあった。
  • 申込者が内心で認識していたサービス内容と、実際に成立した契約で提供されるサービ ス内容に食い違いがあった。

ただし消費者に重大な過失があれば、たとえ操作ミスがあったとしても、運営者は契約の有効性を主張できます。以前は、消費者の操作ミスによるリスクは消費者自身が背負っていましたが、現在は事業者側が背負わなければなりません。そのため、申込確認画面の表示やワンクリックで購入が確定しない仕組み作りが必要です。

消費者とのトラブルを避けるためにも「申込確定時に明確な確認措置」を設けましょう。

特定商取引法で定められる表記義務とは?

特定商取引法で定められる表記義務として、次の6つが挙げられます。

  • 商品の販売価格および送料
  • 商品の支払の時期および方法(クレジットカード決済など)
  • 商品の引渡時期(発送予定日など)
  • 商品の売買契約の申込撤回や解除の方法(クーリングオフの方法など)
  • 商品の返品に関する特約(瑕疵担保責任など)
  • 事業者の氏名、住所、電話番号

それぞれ詳しくみていきましょう。

1. 商品の販売価格および送料

消費者から消費税を徴収する場合、消費税を含めた価格の表記が必要です。商品価格に送料が含まれていない場合では、送料を別途記載しなければなりません。

送料や税込価格が記載されていない場合は、販売価格に含まれていると推定され、消費者とトラブルが発生してしまうリスクがあります。また、手数料やラッピング代が別途記載されていない場合も販売価格に含まれていると推定されるため、必ず明確に記載しましょう。

2. 商品の支払の時期および方法(クレジットカード決済など)

支払いの時期・支払い方法を表記しましょう。

利用できるすべての支払い方法を明記する必要があり、定期購入の場合は初回の支払い時期だけではなく各回の支払い時期を表記しなければなりません。

3. 商品の引渡時期(発送予定日など)

商品の引き渡し時期、発送予定日の表記も大切です。定期購入の場合は、初回の引き渡し時期だけではなく各回の引き渡し時期も表記しましょう。

商品の引き渡し時期とは、商品が消費者の元に届く時期を意味するため「商品が届くまでの期間または期限」と明記するのが最適です。

4. 商品の売買契約の申込撤回や解除の方法(クーリングオフの方法など)

通信販売では、消費者の自主性が損なわれるほどの不意打ち性がないことから、訪問販売で規定されているクーリング・オフ制度は設けられていません。

そのため、申込の撤回や解除方法、解除可能な期間に関する必要事項を見えやすい位置で分かりやすく表記する必要があります。解約の場合の連絡方法、連絡先、解約の条件などについても目立つ位置に表記しましょう。

5. 商品の返品に関する特約(瑕疵担保責任など)

特定商取引法上の「通信販売(特定商取引法第2条)」における法定返品権(特定商取引法第15条の2)により、広告に返品特約が付されていない商品や、指定管理を販売する場合は、一定の条件のもと返品可能です。

ただし法定返品権は、契約違反や瑕疵担保責任などの問題がない場合の返品について規定したものであり、債務不履行解除や瑕疵担保責任による解除については、契約の一般的効果として返品できる場合があります。

「返品の可否」「返品の条件」「返品に係る送料負担の有無」の表示は、価格表示に近い場所など、消費者が必ず見る箇所に明記しましょう。

6. 事業者の氏名、住所、電話番号

事業者の氏名や住所、電話番号、また事業者が法人で、電子情報処理組織を利用する方法により広告する場合には、当該事業者の代表者または通信販売に関する業務の責任者氏名を表記します。

事業者が外国法人または外国に住所を有する個人であって、国内に事務所などを有する場合、その所在場所と電話番号の表記が必要です。電話番号については、確実に連絡が取れる番号を記載しましょう。

また、電話番号のほかにサイトのURLやメールアドレス(※電子メールで広告するときは、電子メールアドレスの記載は必須)、対応可能な時間帯もあわせて表示すると、消費者から信頼が得られやすくなります。

2022年6月施行の特定商取引法改正においてECサイトへの影響が大きい4つの規制とは?

2022年6月に施行された特定商取引法改正において、ECサイトへの影響が大きい規制は4つあります。それぞれの規制内容について詳しくみていきましょう。

1.申込最終画面に注文内容を表示

申込最終画面には、以下の項目を表記する必要があります。

  • 商品名
  • 個数
  • 容量
  • 支払方法
  • ポイント数
  • 合計表示

一画面ですべてが見えるように表示し、消費者が誤認したりトラブルが発生したりしないよう注意しましょう。

2.消費者が誤認する表示の禁止

消費者が誤認する表示は禁止となっています。たとえば、以下のような表示は禁止です。

  • 商品やサービスの効果、性能を標ぼうする場合、根拠が十分ではないにもかかわらずあたかも効果や性能があると表示
  • 継続期間に縛りがある定期購入の場合「トライアル」「数量限定」などの文言を強調して表示

一般消費者に誤認されるような表示をしてしまうと、違法と認定される可能性があるため、注意が必要です。

表示されている位置や形式、大きさ、色調などを考慮して消費者が契約内容を理解できるように表示しましょう。

3.不実告知の禁止

運営者が消費者との契約を撤回・解約する際に、重要事項について事実と異なる説明をしたり表記したりすることは禁止されています。

例えば、解約させないために「定期購入の契約となっており、残りの代金を支払わなければ解約できない」と、事実に反した説明をすることが挙げられます。電話だけではなく、メールも規制対象であるため、十分に注意しましょう。

4.注文取消権の新設

注文取消権の新設によって、最終画面に表示された注文内容が違っていたり、必要内容が表示されていなかったりして、内容を理解せずに注文した消費者は、その契約を取り消すことが可能です。

また、契約の申込や表示された注文内容が消費者に誤認させる表示であり、消費者が契約内容を理解していない、もしくは内容を誤認して契約した場合も同様に取り消しできます。

本記事のまとめ

ECサイトを運営する際にもっとも大切なことは、運営者が「法律」や「特定商取引法改正」について理解し、それに基づいて運営することです。

オンラインショッピングが身近な現代では、スマートフォンやパソコンを簡単に操作するだけで買い物や契約が成立する半面、誤注文や誤認によるトラブルが発生するリスクも高まります。

ECサイトの運営でトラブルに巻き込まれないためにも、法律に基づいた「表記義務」や「規制」を守り、消費者に分かりやすい表記や説明を徹底しましょう。

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