RPA推進担当者必見!導入時に確認すべきポイントは?
RPAの推進には必ずしも特別な知識や技術は必要としません。一方で、適切に推進しないと上手く活用できなかったり、利用率が上がらなかったりしてRPAの導入成果が出せない企業も少なくありません。そこで本記事では、RPA推進体制を構築するために担当者が知っておくべきポイントを紹介します。
そもそもRPAとは?
RPA(Robotic Process Automation)とは、人がパソコンで行う作業をソフトウェアロボットによって自動化できるツールのことです。さまざまな業務を自動化できるだけでなく、ロボットを24時間365日休むことなく稼働させることで、休日であっても作業を進められます。
そのため、RPAの導入は業務負担や残業時間の軽減、従業員の満足度向上、作業の正確性向上などの効果を得られます。
RPA推進がうまくいかない場合の理由
企業に多くのメリットをもたらすRPA。しかし、RPA推進がうまくいかない企業があるのも事実です。推進が進まない主な理由として、次の5つが挙げられます。
- RPAの目的を明確にしていない
- 対象業務を適切に選べていない
- 現場がRPAを理解していない
- RPAツール選定の問題
- 社内にメリットがうまく伝わっていない
ここでは、理由ごとの詳しい内容についてみていきましょう。
RPAの目的を明確にしていない
目的を明確にしないままにRPAを導入した場合、導入自体が目的となってしまいかねません。また、そのような状況では導入する現場側にも目的や意義が上手く伝わらないでしょう。
その結果として、実際に利用する従業員の理解や協力を得られず、導入効果を発揮できない場合があります。
対象業務を適切に選べていない
RPA推進の重要なポイントとして、対象業務の選定があります。対象業務を適切に選んでいないと、RPAには不向きな業務や自動化を急がない業務を対象としてしまい、導入効果を得られない企業も少なくありません。
費用対効果を高めるためにも業務内容を一度整理して、対象業務を事前に切り分ける必要があります。
現場がRPAを理解していない
RPAを導入したからといってすべての業務を自動化できるとは限りません。RPAは、請求書発行や伝票処理といった単純作業とは相性が良い傾向にあります。
一方、計画立案などの判断を要する業務や複雑なルールが伴う複雑な業務などはRPAに向かない可能性があり、導入しても活用が進まない場合があります。
RPAツール選定の問題
RPAツールには「サーバー型」「クラウド型」「デスクトップ型」の3種類があり、その選定も導入後の推進に影響を及ぼします。たとえば「サーバー型」は高い処理能力を期待できるものの、サーバーやネットワーク環境から構築を必要とするため導入のハードルが高い傾向にあります。
そのため、社内の人材やITリテラシーなどに合わせてRPAのツールや種類を選ばないと、推進が進まないケースがあるのです。
社内にメリットがうまく伝わっていない
社内にRPAの導入によって得られるメリットが伝わっていない場合も推進に支障をきたす場合があります。例えば、経営陣側はRPAを推進していても、現場の従業員がRPAのメリットを理解できず、利用率が上がらないケースは少なくありません。
また、現場の従業員は業務の削減を目的にRPA導入を希望していても、経営陣がRPAのメリットを疑い、導入が進まない場合もあります。
RPAを推進させるためのポイントとは?
RPA推進がうまくいかない場合の理由を踏まえたうえで、推進させるためのポイントとして次の6つが挙げられます。
- 目標・ゴールを決める
- RPAでできることを理解・把握する
- RPAのメリットを現場に説明する
- 専門的な知識がなくても扱えるRPAツールを利用する
- 定量的にRPAの効果を計測する
- まずは小さな規模で社内成功事例をつくる
ここでは、ポイントごとの詳しい内容をみていきましょう。
目標・ゴールを決める
RPAの推進には、導入の目標やゴールを事前に決める必要があります。また、決定する目標やゴールは「請求書の作成にかかる作業を10月までに4割減らす」といったように、対象とする業務や期限を明らかにしましょう。
また、実現したい目標を数字で表すことで目標達成までのプロセスを可視化でき、RPAを推進しやすくなります。
RPAでできることを理解・把握する
RPAを有効活用するには、RPAへの深い理解を要します。前述のとおり、RPAを導入したからといってすべての業務を自動化できるとは限りません。
そもそも、自動化できない業務を選んで取り組んでしまうと導入効果を得にくいだけでなく、途中で頓挫してしまう可能性もあります。RPAを社内に浸透させるためにも、推進者はもちろんのこと、全社的にRPAを理解・把握できるような仕組みが必要です。
RPAのメリットを現場に説明する
社内に導入によるメリットがうまく伝わっていないとRPAの利用率が上がらず、推進が進みません。そのため、RPAの導入段階から現場に対してメリットを現場に説明し、理解を得る必要があります。
社内での勉強会やベンダーによる説明会を開催し、RPAの内容やメリットを全体で共有するようにしてみてください。
専門的な知識がなくても扱えるRPAツールを利用する
前述のとおり、RPAの種類によっては専門的な知識がないと上手く利用できないケースもあります。そのため、社内の状況次第では、専門的な知識がなくても使用できるRPAツールを利用するほうが推進を早める可能性もあります。
具体的には「デスクトップ型」や「クラウド型」などは専門的な知識がなくても使用しやすい種類といえるでしょう。
定量的にRPAの効果を計測する
定量的にRPAの効果を測定することも重要です。定量的とは、物事の状況や状態を数字にして表すことを意味します。
RPAによって処理できた件数や削減コスト、業務時間などを定量的に計測することで、RPAの活用による効果検証がしやすくなるのです。その結果として得た情報は、自動化の範囲を拡大したり、ロボットを増設したりといった判断の材料にできます。
まずは小さな規模で社内成功事例をつくる
RPAを提供している企業サイトなどを見ると「50時間の残業時間削減に成功」などの成功事例が多くなっています。ただ、成功している企業もまずは対象の業務・部署に絞って導入する部分導入からはじめ、徐々に導入する規模を拡大しています。
まずは部署単位など小さな規模で運用し社内での成功事例をつくってから徐々に運用範囲を拡大させていきましょう。
RPA推進体制を構築するためのポイントとは?
社内にRPA推進体制を構築するために押さえておくべきポイントは次の2つです。
- IT部門とは別に推進部門を用意する
- 現場の業務を理解している人材を設置する
RPAの活用範囲を広げるためにも、ここではポイントごとの詳しい内容を解説します。
IT部門とは別に推進部門を用意する
RPAを導入しただけではなかなか効果が表れません。そのため、IT部門とは別に推進部門を用意する必要があります。専門部門を別途設けることで、誰が何を担当するのかが明確になり、全社的にRPAの導入や運用を推進できます。
また、導入直後はさまざまな要因でトラブルなどが発生するケースも少なくありません。そこで、推進部門が社員の質問やメンテナンスなども対応できるようにしておけば、より円滑に運用できるでしょう。
現場の業務を理解している人材を設置する
RPA推進体制の構築には、現場の業務を深く理解している人材を設置が欠かせません。RPAの導入効果を得るには、課題となる業務から優先して自動化していく必要があります。
「ミスが多い」や「慢性的に人手不足である」といった社内課題の真因は、現場で実際に作業する従業員でないとわからない場合が多いでしょう。そのため、現場の業務を深く理解している人材をRPA推進部門に取り入れ、連携を図ることでよりスピーディーに推進されます。
RPAの具体的な推進手順とは?
RPAの推進体制を構築できたのちは、次の5ステップに沿って推進します。
- 推進部門内でRPAやツールへの理解を深める
- 対象業務を選定する
- シナリオの作成
- 部分導入・実践
- 問題がなければ対象を広げる
RPAを効率よく推進するには、正しい手順を踏む必要があります。ここでは、手順ごとの詳しい内容をみていきましょう。
推進部門内でRPAやツールへの理解を深める
まずは、RPA推進の中心となる推進部門内でRPAやツールへの理解を深めます。RPAの概念や仕組みを正確に把握することで、自動化の対象となる業務の洗い出しや優先順位の設定などが容易になります。また、自動化後の全体像のイメージもでき、より効率的な推進につながるでしょう。
対象業務を選定する
座学や講習会などを活用して推進部門内におけるRPAやツールへの理解を深めたのちは、自動化するべき対象業務を選定します。現場の業務を深く理解する人材の意見などをヒアリングし、現場に埋もれている無駄を明らかにしましょう。この時、対象とする業務を自動化した際の効果についても見積もっておく必要があります。
シナリオの作成
業務の洗い出しならびに自動化する対象業務を選定したら、シナリオを作成します。RPAにおけるシナリオとは「RPAを運用するための計画書」のことです。
RPAを運用するうえで決定すべき規則や作業内容を明確にするために作成するもので、効率的な運用に欠かせません。シナリオの作成はRPA推進部門が主体となり、模倣となるテンプレートを提供したり、現場での作成をレクチャーしたりしながら作成を進めます。
部分導入・実践
シナリオの作成が完了したら、実際にRPAを稼働していきます。ただし、初めてRPAを導入する場合は、RPAを積極的に活用したい部門やプロジェクトに絞って部分的に導入しましょう。いきなり全体的に導入しようとすると、効果の検証が難しくなる可能性があります。さらに、トラブルが生じた際に問題の真因を掴めず、導入自体が頓挫してしまうケースも少なくありません。
問題がなければ対象を広げる
部分導入で社内に成功事例を作り、部署やプロジェクト内で問題なく運用できるようになったら、徐々に運用対象を広げます。この時、一気に範囲を広げようとしてはいけません。
新しいツールの導入はこれまで当たり前としていた業務プロセスの変化が必然となり、現場にとっては大きな負担となります。サポート体制の構築や社員への理解を深めながら、少しずつ運用対象を広げることが、社内全体での定着に近づけます。
まとめ
近年、問題となる労働人口の減少やデジタル化に対応するためには欠かせないRPA。しかし、導入の目的やメリットを明確にしていなかったり、社内の理解が得られなかったりすると、スムーズに推進できない可能性があります。
そのため、RPAを社内に浸透させるにはRPA推進時のポイントを押さえながら、正しいステップを踏むことが大切です。
アニスカ株式会社では、ECに特化したクラウド型RPA「FULLTIME」の提供を行っています。導入前も導入後も弊社のRPAコンサルタントがRPAの効率的な推進をサポートします。
また、自社にあうRPAツールを比較検討したい方も、ぜひお気軽にご相談ください。