【RPAの導入を内製開発で考えている企業向け】RPAの開発を内製のポイントと外注との違い
近年、RPAを導入して業務の自動化を図る企業が増えてきています。
しかし、RPAの開発を外部に依頼するとそれだけ費用がかかります。
よって、コストダウンを目的に開発の内製化を目指す企業も少なくありません。
本記事では、RPA開発の内製に必要な要素やメリット、デメリット、外注との違いを解説します。
RPAの内製と必要な要素
内製とは、特定の業務について外部委託をやめ、自社内でその業務を行うように変更することです。
一言に内製といっても、企業規模や開発範囲によって必要な要素が異なります。
RPA開発の内製を目指すうえで、欠かせない要素は次の3つです。
- シナリオ開発ができるエンジニア
- 開発運用できる技術者の育成環境
- 開発に割ける予算
これらの要素について、まずは自社の現状を確認してみましょう。
シナリオ開発ができるエンジニア
RPAにおけるシナリオとは、パソコン操作の「手順」を意味します。
例えば、エクセルによる請求書作成には、次のようなシナリオが考えられます。
- エクセルを開く
- 見積書のテンプレートを開く
- 請求先の顧客名を入力
- 件名を入力
- 商品名を入力
- 数量や単価を入力
- ファイル名をつけて指定された場所に保存
- 印刷
このように、請求書の作成1つとっても、いくつかのステップに分かれます。
一つひとつのステップをロボットに理解させるために作業手順を示すものが、シナリオなのです。
RPA開発の質やスピードは、このシナリオ開発にかかっているといっても過言ではありません。
よって、内製するうえでは、質の高いシナリオ開発ができるエンジニアの存在が必須です。
開発運用できる技術者の育成環境
開発や運用に関する技術者の育成環境も必要です。社内から技術者を選出する場合、RPAへの深い理解と開発スキルの習得が必須といえます。
定期的な研修の機会を用意するなど、継続的な学習フローを構築しなければなりません。また、複数の技術者を育成する場合は、技術者ごとに理解度や習得度にバラツキが生じないよう、社内全体での育成プランも設ける必要があるでしょう。
会社主催で勉強会を開催するなど、技術者が学習しやすくモチベーションを維持できる環境作りが重要です。
開発に割ける予算
RPAの内製には、開発に割けるそれなりの予算が必要です。
これから初めてRPAの内製に取り組む企業では、開発運用できる技術者の育成に費用がかかります。
さらに、間違ったアプローチで企画立案してしまい、プロジェクトが進まないといった事態にもなりかねません。
その結果、開発スケジュールに遅延が生じれば、想定していた予算を超過するケースも考えられます。
想定外の出来事にも対応できるだけの開発予算を用意できるかも、内製と重要な要素の1つです。
RPAを内製するメリット
必要な要素を満たしていれば、RPAの開発を内製に切り替えることで次の3つのメリットを期待できます。
- 開発コスト削減
- 自社の細かい課題を解決できる
- RPAの開発の知見が蓄積される
開発費用の削減以外にも、内製のメリットは存在します。
ここでは、各メリットの内容を詳しくみていきましょう。
開発コスト削減
RPAの開発にかかるコスト削減は、内製の大きなメリットです。
RPAの導入を外注する場合、システムの開発に費用がかかります。
また、保守や運用も外注するとなると長期的にコストを払い続けなければなりません。
しかし、RPAの開発を内製すると教育などの育成にコストはかかるものの、開発コスト自体は削減できます。
さらに、自社で保守や運用できるようになれば、長期的にかかるコストの削減も可能です。
自社の細かい課題を解決できる
開発の内製化は、自社の細かい課題の早期解決につながります。
外部に導入を任せる場合、外注先の業者と話し合いを重ねて開発を進めます。
ただし、思っていた動きとは異なっていたり、業務内容の変更に伴って修正が必要となったりといったケースも少なくありません。場合によっては、修正のたびに費用が発生し、なかなか課題の解決につながらない場合も考えられます。
しかし、RPAの開発を内製すると、現場ならでは課題を踏まえた開発が可能です。さらに、開発内容に修正が生じても、細かな修正であればすぐに対応できます。
RPAの開発の知見が蓄積される
開発の内製化は、技術者の知見の蓄積につながります。
RPAは、技術者が経験を積むほどにスムーズに開発が進むようになります。
また、技術者だけでなくRPAを実際に利用するメンバーなどにも知見が蓄積され、社内全体でRPAへの理解が深まるのです。その結果として、最初は一部業務が対象であったRPA導入が、全社的な取り組みとなるケースも少なくありません。
RPAを内製するデメリット
ここまで、RPAの開発を内製するメリットをご紹介しました。
しかし、内製にはいくつかの大きなデメリットも存在します。内製によって考えられるデメリットは次の4つです。
- 担当者が別業務に時間を割けない
- RPAの専門性がいないと正誤判定が難しい
- 繁忙期になると内製が後回しになる
- エラーが起きた時の対応が専門家ではないため遅延する
いずれも開発を阻害する要素となりえるものばかりです。
ここでは、各デメリットの詳細を解説します。
担当者が別業務に時間を割けない
社内でRPAの開発を内製する場合、選出した担当者は別業務に時間を割けなくなります。
RPAを導入する多くの企業では、既存の業務と兼務する形でRPAの担当者が割り振られます。
例えば、社内のインフラやネットワーク、基幹システムなどの開発を担当する方が兼務する場合はこれらの開発や運営に手が回らず、重要なタスクに遅れが生じるケースも少なくありません。
また、システム関連以外の方が担当する場合は、通常業務と並行してRPAの知識を身につけていく必要があるので負担が大きくなる場合もあります。
その結果として、RPAの開発自体もなかなか進まないといった事態にもなりかねません。
RPAの専門性がないと正誤判定が難しい
社内にRPAの専門性がないと、正誤判定が難しい点もデメリットの1つといえます。
RPAの開発を外注する場合、シナリオ開発などの重要な部分を依頼先のプロがすべて対応してくれます。
また、RPAを上手く利用するコツや失敗しやすいポイントなど、実際に導入してみないとわからない部分をプロの観点からアドバイスを受けることも可能です。
しかし、開発を内製する場合はやってみたいとわからないことが多く、トライ・アンド・エラーを重ねるほかありません。
さらに、RPAへの知見が少ないとトラブルが生じた際の解消方法や解決方法に対する正誤判定も難しいです。
その結果として、解決までに時間を多く要し、開発自体が頓挫してしまうケースもあります。
繁忙期になると内製が後回しになる
企業によっては、繁忙期と閑散期が分かれている場合もあります。
内製によって開発の業務を社内に取り組むと、閑散期には開発がスムーズに進むものの、繁忙期には開発が後回しになってしまう可能性があります。
一般的に忙しくなりやすい決算期や年末に近づくと残業が続くケースもあり、既存の業務と兼務する形でRPAの担当者が割り振られている場合はその影響が顕著です。
エラーが起きた時の対応が専門家ではないため遅延する
RPAは導入したら終わりではありません。
日々のメンテナンスや微修正はもちろんのこと、エラーが起きた際の対応も必要です。
外注に開発や運用を任せている場合は、経験豊富なプロがこれまで培ってきた知見や経験をもとに、適切に対応してくれます。
一方、完全に内製していると、エラーメッセージなどをもとに自分たちで対応しなければなりません。
また、対応にかかる時間もプロに比べれば多くなる傾向にあり、その分復旧までに時間がかかります。
開発範囲が大きくなるほどに、遅延によりリスクは大きくなるので注意が必要です。
内製と外注の違い
ここまで、RPAの開発を内製するメリットとデメリットを解説しました。
ここでは、改めて内製と外注の違いを表にまとめています。
内製 | 外注 | |
---|---|---|
開発費用 | 基本不要(教育費用や人件費などは別途必要) | 数十万から数百万 |
開発期間 | 1部署に展開:約1~2か月 全社に展開:約6か月~1年 (担当者への教育期間が別途必要) | 1部署に展開:約1~2か月 全社に展開:約6か月~1年 |
システムの柔軟性 | 低い (正誤判定が難しさや技術者のスキルに影響される) | 高い (プロによる臨機応変な対応が可能) |
エンジニアの教育 | 必要 | 基本不要 |
メンテナンス対応 | 必要 | 基本不要 |
まとめ
本記事ではRPA開発の内製に必要な要素やメリット、デメリット、外注の違いについて解説しました。RPAの開発における「内製」と「外注」には、それぞれにメリットやデメリットがあります。
ただし、内製によりコストカットはできても、開発や教育、エラーへの対応などはいずれも時間がかかる傾向にあります。よって、RPAの早期導入を検討する場合は、専門の業者に依頼した方がスムーズです。
「内製の正しい進め方がわからない」「実施のハードルが高い」といった場合には、まずは弊社にご相談ください。相談の際は専門知識が問われるのではないかと不安になるお客様もおりますが、特に心配ありません。
RPAの開発における内製と外注で悩んでいる経営者や企業担当者の方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。