RPA運用を成功させる設計とは?失敗しない体制と運用ルールの考え方

RPAは導入しただけで自動化が進むわけではなく、安定的に成果を出すためには、導入後を見据えたRPA運用の設計が重要です。
実際の現場ではロボットの停止、作業の属人化、想定外のミスの発生といった課題に直面する企業も少なくありません。
そこで本記事では、RPA運用でよくある失敗やつまずきやすいポイントを整理しました。
あわせて、現場に定着しやすい運用ルールの作り方や無理のない体制設計の考え方まで詳しく解説します。
運用設計の基礎を押さえ、安定的かつ効率的なRPA活用を目指しましょう。

FULLTIMEでは導入前の現状分析からRPA運用の設計、体制構築までを一貫して支援しています。
現場で継続的に使われることを前提とした運用設計を重視している点が特徴です。
FULLTIMEの特徴
- EC業務に特化したRPA導入・運用サポート
- 運用ルール設計や体制構築まで含めた包括的な支援
導入後はロボットの稼働状況を可視化し、業務改善のPDCAを回せる点も強みです。
担当者の負荷を抑えながら、RPAを戦略的に活用するための運用体制構築を支援します。
まずは現在の業務やRPA運用で感じている課題を整理し、お気軽にご相談ください。
\EC業務に特化したRPA/
RPA運用でよくある失敗と課題
RPAを導入しても、運用段階で思わぬ問題が発生するケースは少なくありません。
運用設計が不十分なまま導入を進めると、効果を実感できないどころか新たな負担を生むこともあります。
以下では、RPA運用の現場でよく見られる代表的な課題を整理しました。
課題を理解することで、安定したRPA運用に必要な運用ルールや体制構築の重要性が明確になります。
RPAが使われず無駄なコストが発生する
RPAは適切に活用すれば業務効率を改善できますが、無計画にロボットを作成すると、かえって管理コストが増大するリスクがあります。
ロボットの数が増えるほど稼働状況の把握が難しくなり、RPAが放置されやすくなります。
無駄なコストを防ぐためにも、各ロボットの費用対効果を事前に評価し、本当に自動化すべき業務に絞って導入しましょう。
また稼働状況や作業ログを可視化し、使用頻度の低いロボットは整理・統合するなど、継続的に見直すための運用ルールが必要です。
思わぬミスや業務停止を招く
運用ルールが整備されていない場合、RPAが誤った操作を実行してしまうリスクがあります。
たとえば、誤った在庫数の更新や顧客データの変更など、直接的な損失につながるケースも少なくありません。
ミスを未然に防ぐには、以下のような対応が有効です。
- ロボットごとの操作範囲を明確に定義する
- 定期的なテストとログ確認をルール化する
- ロボット修正・変更時の承認フローを設ける
RPAの誤作動が発生した場合でも原因を素早く特定でき、業務停止の影響を抑えられます。
トラブルの発生時に誰も対応できない
RPA運用でトラブルが起きた際、ロボットの作成者が不明だったり運用ルールが決まっていなかったりすると、復旧までに時間がかかるケースがあります。
あらかじめ運用ルールを明確にしておくことで、以下のような対応が可能です。
- ロボット作成者や担当者への迅速な問い合わせ
- 稼働状況の確認や修正対応の明確化
- トラブル発生時の対応手順の統一
体制とルールを整備しておけば、トラブル発生時でも冷静かつ的確に対応でき、RPA運用の安定性を高められます。
RPA運用体制の作り方 | 代表的な3つのパターン
RPAを安定的に運用するためにも、どのように管理・運用するかを明確にしましょう。
以下では、実務の現場でよく採用されている代表的な運用体制を比較します。

| 体制構造 | メリット | デメリット | 適用ケース |
|---|---|---|---|
| 専任チームが全社のロボットを管理 | 標準化しやすく、品質を一定に保ちやすい | 業務部門の要望反映が遅れる場合がある | 小〜中規模企業で、運用負荷を一元管理したい場合 |
| 各部門が独自に運用 | 業務ニーズに即した柔軟な運用が可能 | 属人化や管理不十分によるミスリスク | 部門ごとに業務特化が求められる場合 |
| 中央管理チームと業務部門の協働運用 | 標準化と柔軟性の両立が可能 | 運用ルールの調整・設計が必要 | 中〜大規模企業で、全社統制と部門対応のバランスが求められる場合 |
各体制にはそれぞれメリット・デメリットがあり、万能な正解はありません。
自社の業務特性やリソースに合わせた体制を選択したうえで、運用ルールと役割分担を明確に定義することが不可欠です。
RPA運用ルールを策定する際の流れ
以下では、現場で実践しやすいRPAルール策定のステップを順を追って解説します。
各ステップを通じ、自社の業務特性に合った運用ルールを構築しましょう。
①RPAの特性と適用範囲を整理する
まずは、RPAがどの業務に適しているかを整理します。
使用するRPAツールの特性や機能の違いを可視化し、現状の業務フローに沿った活用が可能かを確認しましょう。
適用範囲を曖昧なまま進めると、途中で業務フローの見直しが必要になり、設計のやり直しや工数増加を招きかねません。
事前の整理が工程の巻き戻しを防ぎ、効率的なRPA運用の立ち上げにつながります。
②業務フローと例外処理を明確にする
次に、RPAで自動化する業務範囲を具体的に定義します。
すべての作業をRPAで自動化できるわけではないため、どこまでを自動化し、どこからを人が対応するかを明確にすることが重要です。
各ステップの条件分岐や例外時の対応方法を業務フローに組み込み、要件定義を徹底しましょう。
③運用・保守を前提としたマニュアルを作る
業務フローが整理できたら、RPAを運用する担当者向けのマニュアルを作成します。
操作手順や初期設定、軽微な修正方法などを整理し、担当者が迷わず対応できる内容にまとめましょう。
なお、運用マニュアルは一度作成して終わりではありません。
仕様変更や業務フローの更新に応じたアップデートによって、長期的に安定したRPA運用を維持しやすくなります。
④役割・責任・対応フローを決める
RPAの開発者・運用担当者・承認者など、関係者それぞれの役割と責任を明確にします。
誰がどこまで対応するのかを曖昧にしたまま運用すると、トラブル発生時に対応が遅れる原因になるためです。
以下の内容は、運用ルールとして必ず明文化しておきましょう。
- 誰がロボットを作成したのか
- 誰が修正・保守を担当するのか
- トラブル発生時に誰が対応するのか
あわせて、ロボット修正時の承認フローや変更履歴の管理方法も定めておくことが重要です。
トラブルが発生した場合でも迅速かつ適切に対応でき、RPA運用の信頼性とガバナンスを確保できます。
⑤トラブル対応・改善ルールを明文化する
最後に、想定されるトラブルとその対応方法をルールとして整理します。
RPAの誤作動や停止時の手順をあらかじめ定め、関係者に周知しておけば、トラブル発生時でも冷静かつ的確な対応が可能です。
さらに、定期的なレビューや改善サイクルを運用ルールに組み込めば、RPA運用そのものを継続的に見直せます。
こうした取り組みが属人化や運用停滞を防ぎ、安定稼働の維持につながるでしょう。
運用ルールを形骸化させないためのポイント
RPA運用ルールは、策定しただけでは十分とはいえません。
現場で継続的に機能させるためには、守られる状態の設計・運用が重要です。
RPA運用ルールを形骸化させないために、特に意識すべきポイントは以下のとおりです。
- 定期的なレビューと更新を行う
- 運用ルールを可視化し、誰でもアクセスしやすくする
- 担当者への教育と周知を徹底する
- 実務に即した内容でルールを設計する
- 運用ルール違反時の対応フローを明確にする
RPAは業務フローやシステム仕様の変更によって影響を受けやすいため、一度決めたルールを放置すると現場の実態と乖離しやすくなります。
定期的に見直しを行い、業務内容の変化に合わせて更新することが欠かせません。
あわせて、ルールは文書化するだけでなく、日常業務の中ですぐに確認・判断できる形へ落とし込みましょう。
実務担当者が迷わず対応できる状態をつくることで、ルールの遵守率を高められます。
また、運用ルール違反が発生した場合の対応フローをあらかじめ明確にしておくことも重要です。
対応基準が整理されていれば判断に迷いが生じにくくなり、結果としてルール遵守が自然に促されます。
RPA運用に成功する企業の共通点
RPAを導入しても、運用が定着せず成果につながらない企業も少なくありません。
一方で安定的にRPAを活用し成果を上げている企業には、以下のような共通点があります。

- 運用ルールが明確で遵守されている
- 体制と役割分担が適切に設計されている
- 定期的に改善・レビューを行っている
- 自動化の優先度を業務の重要性に沿って判断している
- 現場の担当者がRPA活用の意義を理解している
これらの共通点を持つ企業では、RPAを単なるツールとしてではなく、業務効率化の戦略的手段として活用しています。
業務改善を目指すには、特に「優先度の高い業務の自動化」と「現場の理解・協力」が不可欠です。
RPAを活用した自動化に成功した企業の事例
株式会社ベルタ様では、後払いおよびクレジットカードの再与信業務をはじめ、多くの業務をアナログで処理していました。
中でも再与信業務は2名体制でほぼ1日を要し、業務量は合計で50~60時間に及んでいたようです。
ほかの業務との優先度調整が難しく、処理の遅延が発生しやすい状況となり、解約率の増加といった課題にもつながっていました。
現在ではRPAロボットを導入し、再与信業務の約96%を自動化することに成功しています。
これにより、従業員は顧客対応や業務改善など、より付加価値の高い業務に時間を割けるようになりました。
この事例から、以下の点がRPA活用成功のポイントであると分かります。
- 業務の中でも特に負荷が高く、優先度の高いプロセスを見極めて自動化する
- 現場の担当者が業務削減効果を実感できる形で運用する
RPA運用に関してよくある質問
RPA導入や運用を検討する企業からは、現場の具体的な疑問が多く寄せられます。
以下では、特に多い質問とその回答をまとめました。
RPA運用は内製と外注どちらがいい?
内製の利点は、業務理解の深い担当者がロボットを直接管理でき、変更や改善をスピーディに行える点です。
一方、外注では専門知識を持つ外部リソースを活用できるため、導入初期や複雑な開発でも対応しやすく、担当者の負荷分散につながります。
初期導入は外注で支援を受け、運用フェーズで内製化を進める「ハイブリッド型」が効率的といえるでしょう。
RPA運用ルールのサンプルはどこまで必要?
運用ルールのサンプルには、業務ごとの操作手順に加え、以下を含めるのが理想です。
- 例外処理
- トラブル対応
- ログ管理
ただし、すべての業務を最初から網羅する必要はありません。
まずは主要業務に絞ってルールを整備し、運用しながら段階的に改善していく方法が現実的です。
RPAは将来性がないと言われるのは本当?
RPAそのものの将来性は依然として高く、十分な需要があります。
ただし、単純作業の自動化にとどまる場合、活用の幅や価値が限定される可能性は否定できません。
単なる自動化ツールとしてではなく、業務改善やデータ活用、DX推進の一部として位置付けましょう。
PythonとRPAはどちらを選ぶべき?
Pythonは柔軟性が高く、複雑な処理や外部システム連携に強みがありますが、専門的な知識が求められます。
一方、RPAは非エンジニアでも扱いやすく、定型業務の自動化を短期間で進めやすい点が特徴です。
定型処理にはRPAが適しており、将来的に高度なデータ処理が必要な場合は、Pythonとの併用も有効な選択肢となります。
日本の主要RPAツールの違いは?
日本で広く利用されているRPAツールには、以下のような種類があります。
- UiPath
→導入実績が多く、機能が豊富で高い拡張性を持つ - WinActor
→国内企業向けに設計されており、操作性とサポート体制に強みがある - Automation Anywhere
→クラウド対応に優れ、グローバル環境での運用に適している
導入規模や業務内容、社内リソースを踏まえた自社に合ったツールの選定が重要です。
RPA運用は導入ではなく設計で決まる
RPA運用の成果は、体制設計や運用ルール、役割分担といった設計の質に左右されます。
安定した運用を実現するためには、以下のようなルール整備が欠かせません。
- 適用範囲の明確化
- 業務フローと例外処理の整理
- 運用・保守を前提としたマニュアル整備
- 役割・責任を明確にした体制構築
- トラブル発生時の対応ルール策定
設計段階で十分に検討されたRPAは、属人化やトラブルを防ぎながら、長期的な業務効率化と生産性向上に貢献します。
FULLTIMEでは、どのように運用・活用してよいか分からない企業を対象に、RPA導入のサポートをしています。
RPAの導入事例や活用方法、運用ルールの策定方法のポイントなどを知りたい方は、ぜひ一度お問い合わせ下さい。
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